マイキーとドクロ団の秘密 19
ドミニクの後ろに現れた小さな影は音もなく彼に近づきその足に噛みついた。
「ぐぁ」
急に激痛がはしり低い呻き声をあげ思わず膝を折る。その隙に横を駆け抜けマイキー達の側に来た。
「ハッピー!」
コリンが思わず声をあげた。他の二人も驚いた様子でハッピーを見ている。
「どうしたんだいこんなところまで!僕の心配してきてくれたのかい!」
コリンは興奮してスンスン鼻をならしながら屈んでハッピーの顔を見た。
「まぁ違うとも言えないわね。そんなことよりアンタ達結構まずい状況よこれは」
ハッピーは言いながらマギーの方を見た。マギーは苦虫を噛んだ様な顔でハッピーを見ている。先程対戦し上手く逃げたと思ったのにこの猫なんでここにいるんだ。思いながら右の瞼をピクピク痙攣させた。
「驚いた。ハッピー私達をつけてきたのかしら。前から思っていたけどこの猫普通じゃないわ。賢すぎる。ねえハッピー私達の言葉がわかるんじゃない?」
エミコが急に核心をつく事を言ったのでハッピーは一瞬たじろいだが今そんな事を言っている場合ではない。不意打ちをくらったドミニクが立ち上がり三人を捕らえんとゆっくりこちらに近づいてきている。ハッピーは一番後ろにいたマイキーの足に体当たりし後ろに逃げるよう促した。マイキーは少しよろけたが思い出したように後退した。
「コリン!エミコ!退がって!」
言われて二人も動き出す。
「エミコ〜こっちだよーこっちへおいで〜」
言いながらマギーがまた一歩近づいてきた。今度は後ろのドミニクに目で合図を送り左右に分かれてくる。挟み撃ちにするつもりだ。ハッピーはフル回転で逃げる術を模索したがどうしても思いつかない。仕方ない玉砕覚悟でアタシが飛びかかり場を混乱させ後は運任せしかない。そう思った時すっかり怯えて縮こまっていたコリンが壁際に立つ神の像の足に躓き「あっっついっ痛いっ」と言った。それと同時に像が横に少しずれ、なんとその向こう側に地下へと続く階段が見えた。
「あっ!」
気付いたマイキーとエミコが同時に声を上げ更に同時にハッピーがその空間に飛び込んだ。
「さぁ!早く!」
ハッピーは鳴きその階段を駆け足で降りて行った。それを見たマイキーとエミコが像を横から押し隙間が十分空いたところに二人は飛び込んだ。
「え?あ。マ、マイキー!」
コリンが叫ぶ。
「早く!コリン!逃げるんだ!」
マイキーが階段からコリンを呼んだ。
コリンは慌てて像に手をつきながら空いた空間に飛び込み下で待つマイキー達に追いついた。
「さあ行こう!」
マイキーは皆に呼びかけながら先頭を行くハッピーを追いかけた。