マイキーとドクロ団の秘密 22
部屋に残った三人は一旦扉の前に座り少し休む事にした。
「ふぅ。色々ありすぎてもう何が何やらわからなくなったよ」
コリンはどしっと腰を下ろし大きなため息をついた。
「確かに。ワタシも流石に疲れたわ。それにみんなゴメン。まさかお婆ちゃんが悪者だったなんて、、」
エミコもため息を漏らし、壁に背をつけたまま地面にへたり込んだ。
「ふふふ。驚いたよね。でも大丈夫だよ。きっと何か訳があるんだよ」
マイキーは空気が重くならないよう明るく返事をした。エミコもコリンも微笑んで頷いている。
「それにドミニクさんにも驚いたよね。あの時は慌ててそれどころじゃなかったけど他にも悪者の仲間がいるのかな」
「そう!ワタシもビックリしたわ。お婆ちゃんの事で気持ちがいっぱいだったけど逃げてる時思い出してゾッとしたもの」
コリンとエミコがドミニクの事を思い出していた。
「ほんとあの大きな体で追いかけられたら恐怖で気絶しちゃうよ僕。ああーって唸りながらさ、ゾンビみたいに」
コリンは自分で言いながら身震いした。
「ワタシの空手も効かなそうだな、、。追ってくるかな」
そう言ってさっき来た通路の方を見るがまだ誰かが来る気配はない。しかし通路が一本道である以上この場にいても捕まるのは必至であった。マイキーはそれを懸念しこの状況を打破する方法はないか座りながらも周りを観察していた。
まずこの扉。開かない扉。壊せないか。道具。使えそうなものは、、、無い。ハッピーに任せるしかないか。奇妙な事だが「ハッピーは助けを呼びに行ったんだ」という確信がマイキーにはあった。おそらく他の二人も同じであろう。
次に天井。見上げると黒い巻き貝のオブジェ。かなり大きい。鉄、、いや塗装された木か、どちらにしてもここから逃げるのには使えない。
そして床の真ん中の穴。直径5、6メートルの丸い穴。柵も何もなく落ちたらアウトだろう。さっき横を通った時下を見てみたが完全な闇で子供がどうこうできる代物ではない。
最後は壁。壁の絵と文字らしきもの。四方の壁にそれぞれ口から風を吹く神様。それを受けなびく稲。そして稲穂を刈りそれを頭上に掲げ首を垂れる人間。さらに正面。さっきマイキー達が出てきた所の壁には魚を縦にしたような形の文字らしきものが一面に描かれていた。
マイキーはぼーっとその文字列を見ていた。そして記憶の片隅に何か引っかかるものを感じていた。それは夜で。温かい。底知れぬ恐怖と包み込まれる様な安堵。感情の混沌の中。確かな眠りに誘われる記憶。そうだ昔お母さんが寝る時に読んでくれた絵本。当時僕はその話が怖かった。人間が神様に怒られて追放される話。その後そこに永遠の楽園が築かれる話。そこに書いてあった、、、。
ちょうどあんな形の文字、、、。
「かぜのかみ いかれるそのめ しゅにそまりいかなるみちもとざされん かぜのうむ いのちをささげしたみのむれ それでもおのがくびさしださぬなら てんからのみちはとざされん、、、」
マイキーの口から記憶の断片がこぼれ落ちた。