マイキーとドクロ団の秘密 23

マイキーは無意識のうちにこぼれた言葉を慌てて反芻した。

「かぜのかみ いかれるそのめ しゅにそまりいかなるみちもとざされん かぜのうむ いのちをささげしたみのむれ それでもおのがくびさしださぬなら てんからのみちはとざされん、、、」

「風の神 怒れるその目 朱に染まり、、、」

マイキーはもう一度壁の絵を見た。神様が風を吹いている部分。さっきは気付かなかったが描かれた神様の目は赤く無表情ではあるが捉えようによっては無慈悲な裁きを下している様にも見える。

「如何なる道も閉ざされん」

道がない。行き止まり。これは今のこの状況を謳っている?

「風の生む 生命を捧げし民の群れ、、」

風の生む生命。それはこの土地に伝わる、森からの風が町の農作物を豊かに育てているという言い伝え、絵の描かれている順番からも稲の事であろう。それを捧げる人間。絵の通りである。そして最後の部分。

「それでも己が首差し出さぬなら 天からの道は閉ざされん」

己が首とは文脈から人間の首。それを差し出さぬなら道は閉ざされる。逆に言えば首を差し出せば道が開ける?しかし壁画では人間は稲を天に捧げ、首は差し出していない。マイキーは立ち上がり絵の側に行った。そして手で壁をなぞりながら今の考えをもう一度辿ってみる。コリンとエミコは疲れたのか半ば寝そべる様な体勢でマイキーの動きを目だけで追っている。

神、、風、、稲、、民、、首、、天、、道、、

ぽつりぽつりと呟きながら歩きそして人間が描かれた所で立ち止まる。そしてその首の付近を撫でたときマイキーの手に何かが引っ掛かった。

「痛っ」

思わず声を出しそこをよく見てみると首の部分に細い針金の様な突起物があった。

「何だこれ?」

マイキーはそれを引っ張ってみる。すると壁に切れ込みが現れ人の顔の部分だけが前に少し飛び出した。

「こ、これは、、」

マイキーは驚いたが思い切って最後まで引っ張り出した。すると顔の部分の壁がサイコロ状に抜け落ちて代わりに稲の部分が同じくサイコロ状に引っ込んだ。

「驚いた、、。こんなの映画でしか見たことないよ、、」

マイキーは自分でやったにも拘らず呆気にとられその場に立ち尽くしたが思い切ってその外れた頭を空いた部分にはめ込んだ。

マイキーがさほど力を入れずともピッタリと吸い付く様に中に入り込みそして壁の面が揃ったその時何処かでガタンと大きな音が鳴りヴゥゥンとモーターが作動した様な低音が部屋いっぱいに響き渡った。