2021-05-01から1ヶ月間の記事一覧

窓から林檎の木を眺めていたなら

Chapter06-2 (前回のあらすじ。ティムはホームレスの男と話す。打ち解け始めた二人の心。そこに常連客がやって来て男に話かけた。) 男は老婆の視線に射抜かれて少し緊張した。がそれも束の間、老婆の目を見てみるととても優しい光を放っていた。店に入って来…

窓から林檎の木を眺めていたなら

Chapter 06-1 二人が店内で話始めておよそ20分ティムはだいたいの事情を理解した。このホームレスの男は5年前会社を経営していた事。面白い出会いを求め世界中に「これを見つけたラッキーな人ここに電話して下さい」といった文面のメモを置いた事。電話がか…

窓から林檎の木を眺めていたなら

Chapter 05 午後3:26 11秒,12,13,14,,,,,,煙草屋の中。客は誰もおらず壁に掛かったヤンキースのロゴの入った時計の音が店内に響いていた。店主のティムもホームレスの男も黙っている。受話器を伝い互いの緊張だけが会話していた。 先に口火を切ったのはホー…

窓から林檎の木を眺めていたなら

Chapter 04 世界は運命で渦巻いている。奇跡の様に感じるものから日常におこる小さなものまで、字の如く渦を巻きながら一つの運命が次の運命へと繋がっていき、世界を覆っているのである。 ティムは自分の耳を疑った。あのメモをコイツが置いた? ?。なにを…

窓から林檎の木を眺めていたなら

Chapter 03 駅前通りはいつも人通りが多かった。立ち並ぶ店も活気があって、こころなしか建物自体がふんぞりかえっているようにさえ見えた。そこにフラフラと片手に小さな紙切れを握りしめずっと俯いたまま歩く男があった。髪は無惨に伸び薄汚れた袋を引きず…

窓から林檎の木を眺めていたなら

Chapter 02 煙草屋の中は閑散としていた、煙草だけでなく飲み物や軽食、簡単な日用品なども扱っている小さな店だったが近所のお年寄りやたまたま煙草をきらしたサラリーマンが立ち寄るくらいで、店の中は一日中スローな時間が流れていた。 「ああそうだもう…

窓から林檎の木を眺めていたなら

Chapter 01 いつもはそんなことしないビルゲイツが今日コーヒーの自動販売機の下に小銭が落ちているのを見てそれを拾いコーヒーを買った。ビルは自分でも何故この様な行動をとったのかわからない、ただ人間とは往々にしてこの様な生き物である。 自動販売機…