2021-05-15から1日間の記事一覧

窓から林檎の木を眺めていたなら

Chapter 03 駅前通りはいつも人通りが多かった。立ち並ぶ店も活気があって、こころなしか建物自体がふんぞりかえっているようにさえ見えた。そこにフラフラと片手に小さな紙切れを握りしめずっと俯いたまま歩く男があった。髪は無惨に伸び薄汚れた袋を引きず…