マイキーとドクロ団の秘密 21

そこは30メートル四方程の広い空間で天井は高く何か巻き貝に似た巨大なオブジェが吊るされている。四つの壁面にはそれぞれ絵画が描かれており抽象的ではあるが神様、人間、実った稲それに象形文字の様な連続した模様が見て取れた。そして中央には円形に大きな穴が空いており闇の濃さからその深さが伝わってきた。四人(三人と一匹)は言葉を失いそれらを見ていた。

最初に言葉を放ったのはハッピーだった。

「ニャニャニャニャーニャニャ、、、ニャ」

そう言って今来た道のちょうど向かい側、穴を挟んだ対面に向かった。そこには小窓の付いた木の扉があり荘厳な風景に呆けていた三人も慌ててそちらへ向かった。

「行き止まりじゃなくてよかった」

マイキーは言いながらノブに手を掛け回してみるが、うんともすんとも動かない。次に扉を押したり引いたりしたがやはりびくともしなかった。

「鍵がかかってる。駄目だ開かない」

マイキーは言いながら小窓から向こう側を覗いてみた。先程通ってきた通路と同じ造りで少し先でT字路になっているため先は見通せなかった。

「何かみえる?」

エミコが心配そうに聞いてきた。マイキーは首を横に振る。するとハッピーがコリンの頭に駆け上がり小窓を覗いた。「ワタシならぎりぎり通れるな」ハッピーはコリンの頭を前足でワシャワシャこすり「ニャニャ!」と鳴きコリンを扉の前に誘導した。そして頭を小窓に突っ込み扉の裏側を見た。「ん、やっぱり両面共鍵が無いと開かないタイプの扉か」ハッピーは考えた。おそらくさっきの二人もじきに此処にくるだろう。ここまでは一本道だった。追いつかれたら今度こそ捕まってしまう。ワタシが向こう側へ行って様子を見たいところだがこの子達を置いていくのは心配だ。さてどうするか。悩んでいるとエミコが声をかけた。

「ハッピー、、行ってきて。私達なら大丈夫。このまま皆で此処にいてもじきに捕まってしまうわ」

ハッピーはエミコの方を見なかった。しかし二人の間で交わされた意思は幻では無い。ハッピーはエミコのエミコはハッピーの言いたい事が分かり確かに意思疎通が成された。ハッピーは人間の言葉がわかるがもしかすると人間や動物が分かりあうのに必ずしも言葉は必要ではないのかもしれない。エミコを見ているとそう思えた。ハッピーは何も言わず小窓に飛び込み向こう側へ降りた。そして振り向きもせず走り出した。

必ず助けを呼んで戻る。そう心に誓って。