マイキーとドクロ団の秘密 14

エミコの家から神殿へ行くには北のゲートを抜けて森を歩かなくてはならない。この森は神聖とされ動植物を獲る事は禁じられている。神殿への道は一応わかる様にはなっているが基本的に人の手は入っておらず手摺りや明かりなどはもちろん舗装もされていないので、町の住人が無闇に近づくことはなかった。

「ふう僕ここ嫌いなんだよ。何故って凄くしんどいだろ。道はガタガタだし虫は出るし去年の収穫祭の時なんてこーんな大きなイノシシの親子が目の前を横切ったんだよ。んごっんごって無茶苦茶怖かったんだから」

町に人がいない理由が分かり安心したコリンは言いながらも顔は血色良く元気であった。

「またアンタ大袈裟に言ってる。こーんな大きなイノシシなんていないわよ。それじゃ軽トラックぐらいあるじゃない」

エミコもまた同じくコリンに言い返しながらも顔は朗らかであった。

二人は談笑しながら足取りも軽かったがマイキーは一人下を向き、歩きながらも何かを考えている様子であった。そしてぽつりぽつりと独り言を地面に落としていった。

「神殿、、補修、、屋根、、いない、、誰も、、空いた窓、、描きかけの漫画、、おばあちゃん、、マギーおばあちゃん、、足、、怪我、、、、」

「マイキー、、マイキー」

ふと気付くとエミコが心配そうに顔を覗き込んでいたのでマイキーは驚いた。

「わっ。ご、ごめん。ちょっと考え事をしてたんだ」

「どんな?」

「いや、あの、、」

マイキーは自分が感じた矛盾。何だか全てが途中のまま時間が止まってしまったような町に感じた違和感を話そうか話すまいか考えたが二人を無闇に不安にさせることもないと思い、言うのをやめた。そして話を逸らした。

「イノシシ、、軽トラックぐらいの、、面白いなと思って、、」

「そうでしょ!おかしいわよ大きすぎよ」

エミコは言ってあははと声を出して笑った。

「ホント!ホントなんだってばー。んごっんごって言ってたんだよー」

コリンは「んごっ」の部分を先程よりリアルに演じた。

「あはは。アンタんごって強調すんのやめなさいよ笑っちゃうでしょ」

エミコは言いながら大声で笑った。それに被せてコリンが白目を剥きながらたたみかける。

「んごっ‼︎んごっ‼︎」

「いっいたいっお腹痛いーひっひっ」

エミコはお腹を押さえ大笑いした。

「んごっ‼︎んごっ‼︎」

「いーひー痛いーお腹ーやめて〜コリン」

次第に本当にお腹が痛くなりエミコはだんだん腹が立ってきた。

「んごっんごっんごっんごっんごっんごっ」

「いーいたいーやめて〜っっっって言ってるでしょ!コリンー!はぁぃやぁー!!!」

エミコはコリンのお尻に後ろ回し蹴りをお見舞いした。

コリンは「んごっーーーー‼︎」と白目を剥いたまま鼻をならし、海老反りになったまま三秒停止した。マイキーは女の子にしつこくするのはよそうと心に誓った。

そうこうしているうちにマイキー達は無事?神殿についた。