マイキーとドクロ団の秘密 13

「まちな」

ハッピーはマイキー達がエミコの家に向かう時から屋根伝いについて来ていたのだった。今まで受けた恩を仇で返すような猫では無い。当然コリンやママの安否を気遣っての行動である。

マギーは屋根から落ちて来た猫を見てギョッとした。

「あ!お、お前、、いや、ど、どうしたのかな?猫ちゃん、、どうちたんでちゅかねこちゃぁん」

「ふん。動揺してるね。無理もないアタシが分かるねバアさん」

ハッピーはゆっくり体勢を整え如何なる動きにも瞬時に反応できる狩の構えをとり、さらに続けた。

「そりゃ分かるよねあんなに酷く噛んでやったんだから」

マギーはグッと下唇を噛んだ。ハッピーが何を言っているかは分からないが、身体の動きと唸る様な鳴き声、それに異常に張り詰めた場の空気からこの猫がまた自分を攻撃しようとしていることは火を見るよりも明らかだった。それでもマギーは一応しらばっくれてみる。

「ね、ねこちゃーん。どうしたのかなー。ミルクかな?それともお菓子が欲しいのかな?」

「ふっ。しらばっくれても無駄だよ。アンタの声を確かに覚えている。それにさっきアンタらが話している間に忍び込んで部屋を探したら縦に裂かれた黒マントがあったしね」

マギーは心なしか猫が笑った様に見えゾッとした。どうも見透かされているとふんだマギーは

「ちっ。どうもお前気に入らないね、アタシの言葉が分かるのかい?ま、そんなわけないし、そんなのどっちだっていいさ」

そう言いながら割烹着をゆっくり脱ぎ捨てた。そして鼻にかけた老眼鏡を外しハッピーの方を睨んだ。

「やろうってんなら覚悟しな。不意打でなければアタシのほうが強い、、解放、、、力を解放するっ!!!」

マギーは「はぁぁいゃぁぁ」と低い声で唸り力を溜める様なポーズをとった。それを見てハッピーは半歩後ろに後退し間合いをとった。

それを見た瞬時マギー「きょえぇぇぇ!!!」と超音波の様な声を出し駄菓子屋の中へ飛び込むそして周りの菓子棚を薙ぎ倒しながら奥の裏口へ一気に走り抜け「っしぁ!」と扉を蹴り開けそこから一目散に逃げていった。とてつもない速さだった。ハッピーは一歩も動けず暫くその場に固まった。そして数分後自ら緊張の糸を解きゆっくり下を向いた。そして小刻みに震え出した。

「あんのババァ、、次あったら髪の毛全部引っこ抜いてやる!」

ハッピーは悔しがったが次第に冷静になった。

「そうだ。こうしちゃいられないあの子達が危ない、神殿に向かわなくちゃ」

と自分に言い聞かせ北の森へと動き出した。