マイキーとドクロ団の秘密 9

マイキー、コリン、エミコの三人はマイキーの部屋にいた。

「ねえ、やっぱりなんか変よこの紙もそうだけど町が静かすぎる。誰もいないみたいに」

エミコは珍しく不安そうな顔をしていた。

「エ、エミコへ、変な事言わないでよ。怖くなんかないけど僕ほんともー嫌んなりそう。怖い、、、やっぱこ、こわいし、ひーー!誰も?誰もいないなんて、嫌ーー。こわーーー!」

コリンは動揺して言動がおかしい。

「アンタちょっとしっかりしなさいよ!こっちまで怖くなるじゃない!」

エミコは人差し指で、おもいっきりコリンの二の腕を押した。コリンはひぃぁぁと変な声をだしている。

「ねえ、二人とも、とにかく町の様子を見ながらエミコの家に行ってみない?それでやっぱりおかしかったら父さんのいる大学に電話してみるよ」

マイキーは冷静に言った。初めに家に着いたときから何か違和感を感じていたためかもしれないが自分でも驚くほど落ち着いていた。

そして自我のずっと遠くの方にぼんやり見える光。通常とは違う一日を過ごしてみたい、世界を救うような冒険をしてみたいという仄かに輝く思念が自分の中にある事に気付きマイキーは少し戸惑っていた。

今まで大人しく出来るだけ目立たない様に過ごしてきた。それが自分らしい生活の仕方だと思っていた。しかしそんな自分にも漫画のヒーローみたいな好奇心がある事、また自分はもっと違う自分になれるかもしれない、否、なってもいいんだという可能性。それらにマイキーは不安とは少し違う、無限に広がる宇宙に抱く畏怖の念の様なものを感じて少し目眩がした。

「マイキー大丈夫?足がふらついてるわよ」

「う、うん大丈夫だよ。それより行ってみよう。君の家に」

エミコは頷き、あわあわ言って半ばパニック状態のコリンの腹に「ィヤーーー!!!」と正拳突きをお見舞いした。コリンはぐふッと言って二秒静止した後ハッと我に返った。

 

三人は提案どうりワンブロック先にあるエミコの家に向かう為再びマイキーの家を後にする。マイキーは今度は振り返らず真っ直ぐ前を見つめ冒険への扉を勢いよく開け放った。

太陽の光が曇りかけた三人の心を明るく照らした。