マイキーとドクロ団の秘密 1

学校の帰り道、二人はいつも通り昨日見たテレビの話や今作っている秘密基地の話をしながら歩いていた。

小川に沿ったこの道はとても清々しくて、川を挟んだ向こう側には小さな森が広がっている。

遠くには風車小屋が並んでいるのが見えて、その先に彼らの暮らす小さな町があった。

自然の傍に寄り添う様にして作られた町並みはとても古風で石畳みの道にレンガ造りの家といった風情漂う様子、そこに暮らす人々も往々にしておおらかで優しく、進む時間も明らかにゆっくりであった。

「ねぇ昨日のアニメ見たかい!あの敵はなかなかの強さだったね。ついにやられるかと思ってヒヤヒヤしたよー」

道中拾った枝を剣に見立て昨日の敵の必殺技を真似しながら話すのはコリン。

丸々太った体に眼鏡をかけ一年の内11ヶ月を半袖半ズボンですごす少年で、絵を描くのが得意であった。

「でもさコリン、あの主人公のヒーローは一体何故戦うんだろう。別に誰かに頼まれた訳でもなく仕事でもなくあんな怖い思いして怪我までしてさ、お母さんやお父さんが心配するだろ?僕は世界の平和よりお母さんに笑顔でいて欲しいよ」

このような屁理屈を純粋無垢な心で言ってのけるのがマイキー。本編の主人公である。小さな体に栗色の天然パーマ、鼻の辺りにそばかすがあって純粋故にぬけたところがあるがとても優しい少年であった。

コリンとは親友でいつも一緒に行動している。

「あぁマイキーそりゃ僕だってお母さんには笑っていて欲しいさ。でも男にはやらなきゃならない時があるんだよ!それがヒーローなんだよ!」

コリンが自分のヒーロー像を熱く語ろうとしたその時、前の木のかげから三人の少年が現れた。クラスのいじめっ子達で、マイキー達は彼らが大の苦手であった。

「よー弱虫組のお二人さんじぁないですか」

いじめっ子のリーダーが言った。

「ギャー!出たー!嫌い!走って逃げよーマイキー!」

コリンは思った事をすべて声に出して言った。

「逃がすかよぉ」

手下達が両手を目一杯ひろげ道を塞ぐ。

ひぃぃと情け無い声を出しコリンは頭を抱えたが隣のマイキーはというと無言で棒立ち、遠くを見たまま動かない。

「おいお前!チビのお前だよ!聞いてるのか?」

それでもマイキーは視線を遠くに向けたまま微動だにしない。

「無視してんじぁねぇ!」

と手下が詰め寄ろうとした時マイキーはおもむろに右手で指差し

「あれ、、、ほら見て、来るよ」

シャンシャンシャンシャン。

まだ遠いが奇妙な音が確かに近づいてくる。

そして少し先の曲がり角からそれは現れた。