空台座神社の戦い

獅子舞が火の輪を潜り一鳴きあうぅぅぅぅぅぅぅぅーーーーーん
それを受け稲荷神が眷属両脇の狐がぎろり
獅子舞左右に眼球を開き同時にこれを捉える
刹那二匹の狐自らの尾を放ち獅子の目玉を貫かんとする
獅子舞垂直に飛び上がりこれをかわす
止まらぬ尾の刃空を斬り地面に突き刺さる

高く高く飛び上がりし獅子月に向かい大きく息をを吸い込むと次は地に向かい灼熱の火炎を吐き出す
地面に突き刺さる尾が邪魔で身動きとれまい殺ったと勝利を確信した次の瞬間地面が割れ各々九つに分かれた尾計十八の刃が破竹のごとく天に向かい伸びる
ざくり
ざくりざくり
確かな手応え

凛と鎮座し一歩も動かぬまま相手を屠る様まさに神の眷属
露も滴る曇り無き刃を納め
こぉーん
闇に木霊し境内に静けさがもどる
そこにひらひらと落ちてきた唐草模様
それを見た狐
むむ油断した。と発すか否かの瞬時その喉元にがぶり

胴切り離した獅子の頭片方の狐を屠りさる

それを見たもう片方ひらりと台座から舞い降りべろりと長い舌を垂れ弦の如き目をすうと開き隙の無い構え
返り血に染まった獅子の頭カチカチと二度歯を鳴らし喰らった血反吐を吐き出した
風が止み
静寂が耳を貫く
月にかかる雲濃くなり
次第に闇が広がる
やがて黒
墨をぶち溢したような黒

互いの眼光が尾を引く

残像となる

轟音

森が鳴き

動物達は石になった様に固まった

勝負は一瞬であった

狐尾の刃一閃これを獅子正面から口で受け噛み砕きそのまま止まらず狐を頭から呑み込んだ

獅子勢いそのままに地面に叩きつけられる

そして自ら発火しあたりを煌々と照らす炎となって天に消えていった

刃噛み砕かれるより早く頸椎を貫通し致命傷を与えていた

その日から台座は空のままである

 

伝説空台座神社の戦いこれにて終幕