マイキーとドクロ団の秘密 2

マイキーが指差す先を見てみると先の曲がり角から物凄いスピードの自転車が砂煙を巻き上げこちらに向かってくるのが見えた。

「あっ!あいつはエミコ!」

「やべー!カンフー女のエミコ!」

手下達が同時に叫ぶ。しかし流石はリーダーそこはどっしり構えゆっくり目線をそちらへ向ける。

「ちっ、またエミコか。いつもいつも邪魔しに来やがって。今日は女だからって手加、、ぐへぇぇぇん!!」

エミコと呼ばれたその少女は一度もブレーキをかけずリーダーを轢いた。そしていじめっ子達の方は一度も見ずにマイキー達に言った。

「ちょっとアンタ達またいじめられてたの⁉︎少しは反抗しなさいよ男の子でしょ!」

エミコと呼ばれるこの女の子は日本人でカンフーではなく空手を習っている。二人とは幼馴染で昔はよく一緒に遊んでいたが今では一足早くお姉さんになりよくマイキー達を叱っているのを見かけた。

いじめっ子のリーダーはまだ前輪の下だった。

「おい!エミコ早くこれをどけろ!」

「あら。いたのゴメンなさい気付かなかったわ」

「あほ。早よどけろ。お前怖いよ。そして凄く痛いよ。ぶつかるにしてもちょっとブレーキぐらいかけるだろぉ。お前全速力のまま俺を轢いただろ。博打漫画の主人公がチキンレースでやるやつなんだよ。12歳の女の子はそんなことしないんだよあほあほあほ」

「なによ。よく喋るわね。全然元気じゃない。始末する気で轢いてやったのに」

冗談に聞こえないよね。始末はないよね。とマイキーがコリンに耳打ちした。

手下達は尻もちをついたまま震えていたが

「くそっ覚えておけよ!いつか仕返ししてやる!いくぞっ」

とリーダーが言ったので慌てて立ち上がり

「あ、あほー」

と小さい声で言いながらリーダーの後ろに付いて走り去っていった。

「まったく。アイツらも大したことないわね。さ、マイキー帰るわよ」

エミコは真っ黒なロングヘアーを首の動きだけで払い、行くわよと目で合図した。

「帰るって何処に?僕いまからコリンと秘密基地で作戦会議があるんだけど、、」

マイキーは綺麗な瞳を丸く見開いて驚いた様子で言った。

「あぁ言ってなかったわね。あなたのママに言われて迎えに来たのよ私。なんだか急ぎの用があるみたいよ」

「え?お母さんが?何だろう、、早く帰ろう。コリンごめんよ作戦会議は明日にしよう、、」

、、、、、、。

コリンに話しかけたが返事が無い。

「コリン?」

、、、、、、。

コリンはエミコを見たまま動かない。顔を覗き込むと何やらぶつぶつ言っている。

「う、う、う、つく、、うつく、、し、、、い、、」

マイキーはコリンの肩を揺すった。

「コリン」

はっと我にかえったコリンの顔が急速にピンク色に染まっていく

「どうしたの?顔が赤いわよ。アンタも早く帰るわよ」

コリンは無言で頷き三人は町に向かって歩き出した。この後起こる事件について彼らはまだ知る由もなかった。