マイキーとドクロ団の秘密 3
いじめっ子達を撃退しマイキー達は町に帰ってきた。
この町の入り口には、ここから町ですよ。と言わんばかりのわかりやすい石造りのアーチが建っていて東西南北に各一つづつある。しかしながら北西から南側にかけては川が流れており先には山しかない。北側には深い森が広がっている。よって基本的に人の出入りは今三人が帰ってきた東側からとなる。
この東側の先には比較的大きな街があってマイキー達が通う学校もそこにあった。
「はぁやっと着いた。僕が自転車に乗れないばかりにマイキーにも歩いてもらって、ゴメンよマイキー」
コリンは申し訳なさそうに言った。
「いいんだよ。きっといつか乗れるようになるさ。そしたら二人でサイクリングに行こうよ。楽しみは後にとっておこうよ」
エミコは、あんた練習しなさいよ!と言おうとして直前で呑み込んだ。
「あーんマイキー。君の優しいところが好きだよ。ずっとずっと友達でいようね」
コリンは甘えた様な声を出したがマイキーはただ微笑んで頷いた。
東のゲートからメイン通りを200m程真っ直ぐ行き町唯一のレストラン「ドミニク」の角を北に曲がるとすぐにマイキーの家が見えた。エミコはもう用事は済んだし帰ろうかと思ったが、挨拶だけしておこうと考え直し一緒に家まで行くことにした。
「ただいまー。お母さーん帰ったよー」
マイキーは二人を招き入れリビングの椅子へ誘導した。しばらくしても母から返事がないのでキッチンや洗濯機の辺りを探してみたが見当たらない。
「あれ?おかしいな買い物にでも行っちゃったのかな」
マイキーは首をかしげエミコの方を見た。
「違うと思うわ。だって私買い物していたおばさんに呼び止められてアンタ達を呼びにいったのよ。もう済んでたみたいだったし」
エミコは先程会ったおばさんの様子を思い出そうと腕組みをし少し上を向いた。
「僕のお母さんと井戸端会議でもしてるんじゃない?」
コリンの家はここの斜め向かいにあり家族共々仲が良くしばしば母親同士がどちらかの家に集まりお茶会などを開いていた。
「行ってみようよ」
コリンの提案で他の二人も一緒に行くことにした。この時他の二人は何も思わなかったが、玄関を出る時マイキーだけはただならぬ違和感を感じていた。そして心なしかいつもより重い扉を開けた後ふと誰もいないリビングを振り返り一人頷いた。そして不安をかき消す様に「行こう」と大きな声で言った。