有名人になりたくて。夏。


僕も幾度となく夢見てきた有名になるということ。

なんだかキラキラしていて楽しそうで何よりお金持ちになれる。純粋無垢な少年僕はそう信じてやまなかった。

しかし聞くところによると苦労も多く一時の水ものになりがちで、そのためか精神を病む者も少なくないそうだ。

今ではsnsによる誹謗中傷も社会問題となっている。

不特定多数に自分という商品を晒すのはやはりそれなりの覚悟がいるようだ。

そもそも人など欠陥だらけの不良品であるのにお客様からクレームが来ない訳がないのであるが、そのへんのわきまえをしておかないと後々痛い目を見る事になりそうだ。
それでもあの手この手で有名になろうとする者があとをたたない。

何故か。

それは極論を言えば生存本能によるものと思う。

ようは自分がいかに優れた人間か知ってもらい、より性能の良い人間と交わるためであると思う。

つまり「良し悪し」ではなく生命力の「強弱」により、その度合いが決まるのではないだろうか。


それらをふまえて有名になりたいですか?と問われれば僕はやはりyesと答えるだろう。

一番の理由はやはり自分の作ったものを沢山の人に見てもらいたい、褒め称えてもらいたいからであるが、もう一つ理由がある。

それは自分以外を救うパワーがつく事である。これは使い方を誤らなければ大変有効な事であると僕は思う。

実際、殆どの著名人が形こそ違えどこのパワーを行使しているはずである。

世間では評判の良くない人も、自分の近しい友人や家族、恋人を守るため、また幸せにするためにそうしているだろう。


まあいずれにせよ身の丈を超える草木の中を進もうとすれば、迷い、途方にくれるのは必至であるだろうが。