マイキーとドクロ団の秘密 16

「あっちだあっちに行ったぞ」

人間の声、複数いるようだ。そしてこの台詞。ハッピーは人間の言葉が理解できる。嫌な予感がした。というよりほぼ確信に近かった。イノシシは気が立っていて気づいていない様だ。そして予感は的中した。イノシシの後方に猟銃を持った人間を三人確認する。密猟者だ。この巨大なイノシシが何故あんなにキレて突進してきたのかようやく合点がいった。出会う前にこの人間達と一戦交えていたのた。そして追われているところに子に近づくハッピーを見て怒り狂ったのであろう。

「ふんっ。なるほどね、アイツらのせいでアタシまで巻き添いくったのね」

ハッピーは木の陰に隠れようとしている人間達の位置を目視で確認し記憶した。そして

「作戦変更アイツら懲らしめないと気が済まないわ」

と呟き巨大イノシシに向かい全力で駆け出した。それを見たイノシシが後ろ足で砂を蹴り上げ迎え撃つ体勢をとる。ハッピーはそのまま走りあと数メートルというところで急速に右折した。それを見たイノシシハッピーの軌道を読み最短距離で跳ね飛ばそうと突進する。ほぼ同時に銃声イノシシが居た場所の地面に着弾「しくじった急に動き出した!」と人間の声ハッピーイノシシと衝突するポイントを目算し直前で一番近い木を駆け上がったそしててっぺん付近から人間達のいる方へ跳躍。何本かの木を経由して一気に間を詰める。イノシシは止まれずに幾つか木を薙ぎ倒し大きくカーブを描いてハッピーの行った先を向く。銃声と地鳴りで鳥達が一斉に飛び去っていく。人間がハッピーに気付く「猫?」遅い。反応が。人間が彼女を目視し脳に伝達した情報は猫という事だけ。状況を理解せぬまま窮地にいた。ハッピースピードを一切落とさず牙を剥き猟銃を持つ手を噛み切る。たまらず人間ギャッと唸り銃を落とし跪く間髪入れず後ろに回り込み首筋を爪で引っ掻いた。何が起こったかわからぬまま悶えているのを横目に見ながらハッピーは次の人間の元へ向かうそこに巨大イノシシが迫ってくる。人間大慌てで傍らの草むらに飛び込み九死に一生をえた。イノシシそのまま猟銃を轢き潰しまたハッピーを追う。二人目の股の下をくぐり抜け一瞬にして背後を奪う人間は最早成す術なくただよろけて今見た猫を探す。ハッピーその顔に飛びかかり瞼の上二箇所、右の頬、左の顎落下しながら順番に切り刻む。人間あぁあいぃゃぁと両手で顔面を押さえてあらぬ方向へ走り去り木の根に足を掛けそのまま木に頭を強打失神。ハッピー着地と同時に四肢で地面を蹴り三人目の方を向く。今度は少し距離がある。流石に異変に気づいてこちらへ銃口を向けている。ダァン!無闇に放った弾丸ハッピーから3mはズレている「ふっこの状況で銃は悪手でしょアタシが見えてんのかい!ニンゲンッ‼︎」避ける気も無く直進で向かい目の前1mで急停止した。そしてゆっくり人間の顔を見上げた。